2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨移植の成否に関与する要因から考察した造血幹細胞による骨組織再生療法に関する研究
Project/Area Number |
21792051
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松野 美乃 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 専門研究員 (80374544)
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Keywords | 歯学 / 口唇裂・口蓋裂 / 骨組織再生 / 骨移植 / 造血系幹細胞 / 間葉系幹細胞 |
Research Abstract |
口唇裂・口蓋裂患者のより良好な矯正歯科治療の達成には顎裂部骨移植は必要不可欠かつ重要な治療である。そこで本研究では臨床的研究と基礎的研究の両側面から、現段階における顎裂部骨移植の評価ならびに顎裂部骨移植の今後の可能性について骨組織再生療法を用いて検討することを目的としている。 今年度に行なった研究内容は以下の通りである。 1. C3H/He Slcマウスの大腿骨・脛骨骨髄より骨髄細胞を採取し、骨髄由来間葉系細胞(MSC)を通法に従い培養した。細胞の顕微鏡による形態所見を確認するとともに、多分化能を確認した。また、MACSにより骨髄由来造血幹細胞(CD105+Sca-1+LTR-HSCs)(HSC)を分離した。 2. 1で得られたMSC、HSCを骨芽細胞分化培地にて培養した。染色による肉眼的な差は認められなかったが、Alizarin Red定量よりHSC濃度に依存して吸光度が大きくなっていた。 3. 1で得られたMSC、HSCを脂肪細胞分化培地にて培養した結果、MSCにHSCを加えた群はMSC単独の群よりも有意に脂肪細胞数が多く、HSCをMSCと同時に培養することにより脂肪細胞数が増加し細胞分化能が高まることが示唆された。 4. 1で得た細胞を多孔性炭酸含有アパタイトと組み合わせてC3H/He Slcマウス背部に移植しin vivo条件における骨誘導を行った。8週間後移植周囲組織を摘出し組織切片をHE染色し、新生骨の評価を行った。HSC単体を移植した組織に新生骨は認められなかった。一方、MSCにHSCを加えて移植した組織とMSC単体を移植した組織に新生骨が認められ、さらにMSCにHSCを加えて移植した組織には新生血管が認められた。これらの新生血管および骨髄の形成は、移植したHSC由来のものと考察された。
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