2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞間コミュニケーションを利用した口腔組織構築法の開発
Project/Area Number |
21792054
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 亜矢 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (40295085)
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Keywords | エナメル質再生 / 細胞間結合 / Gja1 |
Research Abstract |
我々は、これまでエナメル基質の発現誘導に関して、細胞外マトリックスや細胞増殖因子以外の第3の因子として細胞間結合因子が重要であり、特にGja1分子がエナメル質形成に重要なアメロブラスチンの発現制御に関わる新規分子であることを明らかにした。さらに、TGF-β1刺激によってリン酸化されたERK1/2とSmad2/3が核内に移行し、Runx2のセリンをリン酸化し、アメロブラスチンの転写を活性化する機序を明らかにした。 また、Gja1分子は隣接する細胞と細胞間結合を形成し、Ca^<2+>やIP3などの低分子の輸送に関わる。そこでこれら低分子によるERK1/2のリン酸化制御機構とアメロブラスチン発現誘導に関して、細胞内カルシウム阻害剤や促進剤、さらには小胞体膜に存在するIP3受容体の阻害剤を用いて、これら分子のエナメル芽細胞分化に及ぼす影響の検討を行った。その結果、細胞内カルシウム量はTGF-β1誘導性のERK1/2のリン酸化に重要であり、小胞体膜にあるIP3受容体に細胞間結合を通過してくるIP3が結合することで、小胞体からCa^<2+>が放出され、細胞内Ca^<2+>濃度が上昇する。これによって、ERK1/2のリン酸化が誘導され、逆に小胞体からのCa^<2+>放出が抑制されると、ERK1/2のリン酸化が抑制されることがわかった。また、小胞体膜にもGja1分子が存在し、小胞体からのCa^<2+>の放出にも関与していることが示唆された。 本研究結果は、細胞間結合が一般的な細胞内シグナル伝達(ERKシグナリング)を厳密に制御していることを明らかにした報告であり、歯の発生研究のみならず、他の臓器形成における細胞間結合の役割に関する重要な知見といえる。
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