2010 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節機械受容器応答特性を指標とした変形性関節症の発症機序
Project/Area Number |
21792061
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
藤田 紘一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 非常勤講師 (30451909)
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Keywords | 顎関節機械受容器 / 電気生理 / 変形性関節症 / 侵害刺激 / 咬合干渉 / ラット / 三叉神経節 |
Research Abstract |
変形性関節症(OA)は、顎関節も含め様々な関節において発症する。膝OAの原因として、形態異常、不安定性、筋力低下等が指摘されており、これらは顎関節領域におけるOAの病因とも関わりが深いものと考えられる。我々が行った過去の報告では咀嚼筋力を低下させることで、顎関節領域の不安定性や形態異常を誘発する結果、下顎頭の軟骨形態、成長様式の変化および関節円板の性状変化が起こるという結果が得られている。また、顎関節周囲組織の変化により、顎関節機械受容器の機能が変化することも報告されている。顎関節機械受容器は、顎関節包の後外側部ならびに関節靱帯に存在し、下顎位および下顎運動の方向と速度を調節し、咀嚼筋活動を制御する感覚器官であり、顎関節の感覚情報を中枢に伝達している。そこで本年は顎関節分野でOAの原因として挙げられているクレンチング、ブラキシズム等の侵害刺激が顎関節領域に加わるような環境をアダルトラットへ与え、その時の顎関節機械受容器への影響について電気生理学的に調べた。顎関節に侵害刺激となりうる過負荷を与える方法として、咬合干渉を与える方法や過度の受動的開閉口運動を行う方法などが考えられるが、今回は日常で起こりやすい環境として、咬合干渉を与える方法を選択した。具体的には、ラットの臼歯咬合面ヘレジンを築盛することにより咬合高径を増加させた結果、咬合干渉を惹起させた。また、顎関節機械受容器への影響を調べるために、受動的開閉口運動時の顎関節機械受容器応答特性の記録を三叉神経節より行った。その結果、顎関節に侵害刺激を加えることにより、発火開始までの閾値と最大瞬時発火頻度の上昇がみられ、顎関節機械受容器の機能低下を起こすことが明らかになった。以上より、侵害刺激は顎関節機械受容器へ影響を与え、顎関節症・OAの発症の一因となる可能性が示唆された。
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