2010 Fiscal Year Annual Research Report
P.gingivalis感染による血管内皮肥厚におけるメカニズムの解析
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21792066
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
根本 浩利 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (80527226)
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Keywords | Porphromonas ginagivalis / 血管内皮 / 平滑筋細胞 / 大動脈瘤 / 心臓弁 / S100A9 / 歯周病 |
Research Abstract |
これまでに,歯周病原性細菌であるPorphromonas ginagivalisがコレステロール非依存性の血管内皮肥厚に関連している可能性を,細胞生物学的・分子生物学的およびマウス大腿動脈損傷モデルを用いて検討した.その結果,P.ginagivalisと血漿成分の海合物が,損傷した血管内皮に接触しS100A9の発現レベルを上昇させることで,収縮型平滑筋を増殖型に形質転換させ,血管内皮の肥厚を生じさせるという仮説を組み立てた.その後,多数のヒト大動脈瘤検体を分析した結果,P.ginagivalis保有者の検体においてS100A9の発現が強度であることが示された.また,多くの検体の分析から,S100A9の発現と増殖型平滑筋の度合いとの間に正の相関関係を認めることが明らかになった.今年度は,心臓弁置換術の際に摘出された検体のうち強い石灰化を示すものを用いて,同様の現象が生じていないかを検討した.すると,P.ginagivalis陽性検体の中でS100A9の発現が強いものがいくつか存在したため,分析する症例数を増やして検討しているところである.また,これまでに示してきた「P.ginagivalisが関連しているコレステロール非依存性の血管内皮肥厚」を抑制する化合物の存在についても検討した.分析には,既に確立しているP.ginagivalisと血漿成分の混合物によって平滑筋細胞を増殖させる系を用いた.これまでに,ポリフェノールを中心とした多くの化合物を網羅的に分析したが,現時点では平滑筋増殖を明確に抑制する化合物の発見には至っていない.現在,分析する化合物の対象を広げて,さらに検討してしているところである.
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