2010 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞から象牙芽細胞、エナメル芽細胞分化の位置情報付与法の確立
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21792072
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒坂 寛 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20509369)
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Keywords | 歯 / 再生 / ES細胞 / 歯原性間葉細胞 |
Research Abstract |
前年度までで、Nakaoらによって確立された、in vitroでの歯胚再構成法(Nakao et al.Nat Methods. 2007 Mar;4(3):227-30.)を用いて実験を行い、再構成歯胚の中にES細胞を撤種し、その後、再構成歯胚の組織切片を作成しGFPを指標にしてES細胞が取り込まれた部位を特定する事に成功した。しかし、ES細胞を歯種した再構成歯胚は発生段階が途中で停止してしまうという問題点が残っていた。本年度はその問題点を解決すべく、撤種するES細胞の数量の違いにより、再構成歯胚がどの様に発生するかの検討を行った。その結果、ES細胞を撒種した再構成歯胚の発生可能なステージは、再構成歯胚を作製する際の歯原性間葉細胞の数とES細胞の数の比率に大きな影響を受ける事を見出した。具体的には歯原性間葉細胞10^6個に対して、ES細胞2000個以下であれば成熟した再構成歯胚が発生するが、ES細胞がそれ以上であると再構成歯胚の発生が途中で停止してしまう事が解った。しかし、成熟した再構成歯胚においてもES細胞が象牙質やエナメル質に分化している像は認められなかった。そこで、現在はES細胞の様な完全に未分化な細胞(胚性幹細胞)ではなく、歯髄等に存在するある程度分化した体性幹細胞を象牙芽細胞に分化させる新たな試みを始めており、現在ラットの歯髄細胞をIn vivoで象牙芽細胞へと分化させる方法を確立しつつある。具体的には過去の我々の研究で象牙芽細胞の分化誘導に重要な役割を果たす事が解っている、Wnt signalingを人工的にラット歯髄の幹細胞において亢進させることにより、象牙質新生を促進する事に成功している。これらの知見をより深めていく事により、臨床に近い歯の再生医療の為の基盤となる事が期待される。
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