2010 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞移植時の免疫抑制下における3DSを用いた全身的感染予防プログラムの開発
Project/Area Number |
21792073
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
角本 法子 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10508104)
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Keywords | 3DS / 感染予防 / 免疫抑制 / 造血幹細胞移植 |
Research Abstract |
本研究は,口腔からの全身的感染を防止し患児のQOLを向上させるために,各患児専用に作製されるドラッグリテーナーと抗菌薬を用いた3DSを応用し,易感染状態にある患児を対象とした全身的感染予防プログラムを開発することを目的としている。本年度は,入院患児を対象として3DS施行前後の口腔粘膜状態および口腔内細菌数の変化について検討した。 対象:広島大学病院小児科にて造血幹細胞移植および化学療法を受けた患児35名(男児22名,女児13名,平均年齢9歳11か月)。研究の目的および方法について説明を行い,同意を得た。 方法:全患児に対して,以下のような一連の流れで口腔ケアプログラムを行った。 1.術前口腔内診査(粘膜評価,口腔内細菌数評価) 2。歯科治療:必要に応じ,う蝕や歯周疾患の治療を行い,口腔内感染源を根絶した。 3.PMTC:歯科衛生士が歯面を機械的に清掃し,バイオフィルムを可及的に除去した。 4.3DSの施行:個人用ドラッグリテーナーを作成し,薬剤を5分間口腔内に保持する3DSをPMTC後の7日間,就寝前に行った。 全患児に対し,PMTCと3DSによる口腔ケアプログラムを試みた。そのうちPMTCと3DSの両方を行うことができた群を3DS群(14名),低年齢や強い嘔吐感のためドラッグリテーナーの口腔内保持が困難であった患児にはPMTCのみを行い,これをPMTC群(21名)とした。 研究成果 1.口腔粘膜障害への効果:頬粘膜および歯肉粘膜において,PMTC前とPMTC後30日目との比較を行ったところ,3DS群では有意に粘膜障害が軽減した。一方PMTC群では,粘膜障害の改善は認められなかった。 2.口腔内細菌数の変化:3DS群ではミュータンスレンサ球菌,嫌気性菌および好気性菌において,PMTC前と比べ術後14日でCFUが減少した。またカンジダではPMTC前と比べ術後7日でCFUが有意に減少し,30日後まで長期に渡り低値を維持した。一方PMTC群では,いずれの菌群においてもPMTC前後でCFUにほとんど変化は認められなかった。
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Research Products
(2 results)