2011 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞移植時の免疫抑制下における3DSを用いた全身的感染予防プログラムの開発
Project/Area Number |
21792073
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
角本 法子 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10508104)
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Keywords | 3DS / 感染予防 / 免疫抑制 / 造血幹細胞移植 |
Research Abstract |
本研究は,造血幹細胞移植を受ける患児の口腔からの全身的感染を防止し,放射線療法および化学療法を受ける患児のQOLを向上させるために,各患児専用に作製されるドラッグリテーナーと抗菌薬を用いた3DSを応用し,全身的感染予防プログラムを開発することを目的としている。前年度までに,口腔内除菌を行うことで化学療法を受けた患児の口腔粘膜炎が軽減することが明らかとなった。そこで本年度は,口腔細菌表面に存在する菌体外毒素が化学療法中の口腔粘膜炎の増悪因子であるとの仮説を立て,in vitroにて検証した。 対象と方法:実験にはヒト歯肉由来正常線維芽細胞Gin-1を用い,粘膜障害性の強い化学療法剤であるL-PAMと,細菌由来高分子としてリポ多糖(LPS),およびリポタイコ酸(LTA)を同時に作用させた際の細胞障害性を検討した。 細胞障害性の検討は,Gin-1に各種濃度(1nM,10nM,100nM)のLPSまたはLTAを添加した後に,L-PAMを作用させて37℃,5%CO^2気相下にて24時間培養後,培地中に放出されたLDHをLDH Cytotoxicity Detection Kit (TaKaRa)を用いて測定した。得られた値と,1%TritonXで処理したポジティブコントロールおよび,無処理のネガティブコントロールの差との比率より細胞障害率を算出した。 結果:Gin-1に対する細胞障害性はL-PAM単独と比較して,LPSまたはLTA存在下の方が有意に高かった。また,細胞障害性はLPSまたはLTAの濃度依存性に増強した。これにより,化学療法剤L-PAMと細菌由来高分子LPSおよびLTAは,相乗作用で細胞障害性を高めることが明らかとなった。以上より,LPSおよびLTAが粘膜障害の増悪因子となっている可能性が示唆された。
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