2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨折治癒におけるTIMP3の機能的意義と、新規骨折治癒促進薬の創薬
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21792077
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
日浅 雅博 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (90511337)
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Keywords | 骨折治癒 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
本年度はTIMP-3ノックアウトマウスを用いてその骨芽細胞や前駆細胞である間質細胞、破骨細胞、樹状細胞を中心とした免疫細胞等との相互作用を検索した。骨芽細胞の前駆細胞である骨髄間質細胞には、豊富にTIMP-3の発現が認められ、骨髄間質細胞と破骨細胞の前駆細胞である単球を共培養すると、単球の細胞膜表面のM-CSFR発現が著しく亢進した。一方でTIMP-3ノックアウトマウスは、骨組織に対し特記すべき表現系は存在しなかった。TIMP-3ノックアウトマウスの間質細胞と単球の共培養で単球のM-CSFR発現上昇は認められなかった。これはTIMP-3ノックアウトマウスの間質細胞と野生型マウスの単球を共培養した場合でも同様であり、間質細胞の発現するTIMP-3が単球のM-CSFR発現に対し正に制御することが考えられた。そこで骨髄間質細胞の発現するTIMP-3が単球の破骨細胞と樹状細胞分化にどのような影響を及ぼすかを検討した。TIMP-3ノックアウトマウス単球のGM-CSFとIL-4の刺激による樹状細胞分化能については野生型と比較し優位な差は認められなかった。しかしながら、野生型マウスの骨髄間質細胞は破骨細胞分化を促進し、樹状細胞分化を抑制したのに対し、TIMP-3ノックアウトマウスの骨髄間質細胞は樹状細胞分化の抑制が認められず破骨細胞分化の促進も認められなかった。この結果、骨髄間質細胞は骨髄内でTIMP-3を豊富に産生することで単球のM-CSFR発現を促進し破骨細胞分化を誘導し、樹状細胞分化を抑制していることが示唆された。本研究により骨髄内という環境での免疫抑制と骨吸収の調節機構が明らかとなった。本研究の成果は現在投稿準備中である。
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Research Products
(4 results)