2009 Fiscal Year Annual Research Report
成長発育期からの咀嚼変化が脳発育に及ぼす影響について
Project/Area Number |
21792096
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
綿引 淳一 Showa University, 歯学部, 兼任講師 (60384351)
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Keywords | 脳発育 / 咀嚼 / 成長発育 / 咬合と全身への影響 |
Research Abstract |
近年、歯科界では、咬合や咀嚼機能が及ぼす全身への影響が大きく注目されている。老年期における咀嚼機能と脳機能に関しても多くの研究が現在までに報告されており、噛む事と老年期の脳機能低下に強い関連性がある事が報告されている。しかしながら、成長期における咀嚼習慣が脳発育に及ぼす影響に関して十分に検討した報告はない。また、我々は過去に成長期における咀嚼変化が、下顎骨形態や下顎頭軟骨の遺伝子発現ならびに頭蓋骨の大きさに大きく影響を与える事を報告してきた。そこで、本研究では、成長期からの咀嚼習慣(食べ物の硬さ)が脳の成長発育ならびに老化に大きな変化をもたらすと仮説を立て、マウス行動解析(学習記憶機能解析)、マウス用高分解能MRI、機能的マンガン増強MRI法(ファンクショナルMRI)を用いた脳の機能的形態学的評価、脳の組織学的評価、および遺伝子発現変化を比較検討する事とする。実験動物は、離乳直後の生後3週齢C57BL/6NCrlCrljマウスを用い、実験群は硬食を与えた群(Hard群)、軟食を与えた群(Soft群)、硬食と軟食を交互に与えた群(Hard/Soft群)の3群に分類する。実験開始後に経時的に各群に対して上記の評価をそれぞれ行う。従来の類似研究が高年齢の痴呆症等に焦点を当てているが、成長期における咀嚼が脳機能の発育に及ぼす影響に関しての報告は現在までない。我々歯科医師にとって早期の矯正治療や咀嚼が脳機能の発育(記憶など)に及ぼす影響には大変興味深く、もし解明されれば咀嚼と全身との深い関係が明らかになり患者様へのメリットはもちろん歯学界に大きな希望を与えられるものと考えている。
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