Research Abstract |
子どもの精神性歯ぎしりの機能を解明するための実験と解析を引き続き実施した。平成22年度も,可能な範囲での実験サンプリングを行い,また,研究打合せを通して解析・発表に関する有益な示唆を受けた。実験は,5-8歳の小児を対象として,実験室ではなく在宅で行った。急性のストレス事態として,就寝直前に20分程度の心理課題を行った。脳波,心拍数,咬筋筋活動,簡易式歯ぎしり測定装置(ブラックスチェッカー),唾液の採取を通じた精神生理学実験となっている。実験の前後2週間程度,生活習慣の統制のため活動量計を装着させ,日誌をつけさせた。すべての実験は,保護者に対し,調査の必要性と目的に関する説明を果たした上で,書面での同意を得ている。 本年度は,夜間の自律神経系活動について,就寝前にストレス課題を負荷した場合に,心拍数の上昇や交感神経系活動の高まりが観察され,歯ぎしり時間増加と共に,第一周期および明け方ののレム睡眠時間量の減少という形で睡眠の構造を変容させ,睡眠そのものの質の低下をもたらすことが示された。この成果については,随時国内・国外での学会発表を行ってきており,論文発表の準備も進めている。一方で,唾液中コルチゾル濃度に関する検討も追加して行いつつある。こちらの成果についても,データ解析とサンプル数が十分に蓄積次第,発表・報告していく予定である。
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