2009 Fiscal Year Annual Research Report
窒素含有ビスフォスフォネートによる"顎骨壊死"の機序解明と治療・予防を目指して
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21792101
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
船山 ひろみ Tsurumi University, 歯学部, 助教 (00359530)
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Keywords | ビスフォスフォネート / 顎骨壊死 / マウスモデル |
Research Abstract |
骨吸収抑制薬bisphosphonate(BP)は,現在世界中で約2億人の患者に投与されている.しかし,顎骨壊死とそれによる顎骨の露出という予期せぬ副作用が最近続発し,この数年で数千人の発症が確認されるに至っている.顎骨壊死は,窒素を含むBP(以後NBPと略)により発症し,窒素を含まないBP(以後non-NBPと略)では発症例は無い.NBPは起炎性であるが,non-NBPに起炎性はなくむしろ抗炎症性ですらある.BPによる顎骨壊死には口腔細菌と抜歯の関与が予想されているが,機序は不明である.これまで我々はNBPsをマウス耳介に注射すると炎症・壊死が生じ,この反応はLPSで増強・促進され,non-NBPのclodronate(Clo)で抑制されることを見いだした.今回,NBPであるzoledronate(Zol,骨吸収抑制・壊死作用最強)を注射した耳介モデルにおいてLPS(E.ooli 055:B5)およびCloを併用投与した場合の組織内サイトカインの動態を検討した.雌性BALB/cマウスの両耳介にtest sampleを20μl/earずつ皮下注射し,両耳を摘出後,耳介抽出液中のIL-1β,IL-18,TNF-αをELISA kitを用いて測定した.1mMのZol投与3日後に耳介を摘出したところ,IL-18の産生増強が認められた.0.1mg/mlのLPSをZolに併用投与したところ,IL-1βおよびTNF-αの産生が増強した.ZolにCloを併用投与すると,これらのサイトカインの産生抑制が認められた.以上の結果はこれまで我々が得たNBPsの炎症・壊死反応と同様,上記サイトカインの産生もLPSは増強し,Cloは抑制することを示す.つまり,NBPによる炎症や壊死に細菌感染が関与する可能性を強く示唆するとともに,Cloの炎症・壊死の予防薬としての有用性を示唆する.
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Research Products
(4 results)