2010 Fiscal Year Annual Research Report
加齢に伴う実験的歯の移動における歯根膜組織の改造活性能
Project/Area Number |
21792103
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
影山 徹 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (80319102)
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Keywords | 歯学 / 細胞・組織 / 歯の移動 / 歯根膜組織 |
Research Abstract |
本研究の目的は,実験的歯の移動を行った際,加齢に伴う歯根膜組織の改造活性能と矯正的歯の移動量との関係について解析することである.平成21年度の計画は,実験第二段階として矯正的歯の移動下での歯根膜単位面積あたりの分裂細胞数の解析を行った. 実験には10週齢から80週齢のWistar系雄性ラット(体重約250~570g)を用い,上顎第一臼歯をNi-Ti系クローズドコイルスプリングにより10gの牽引力で近心方向に2週間牽引した.実験期間中1週間隔で歯の移動距離を計測した.歯根周囲の変化を全体的に把握するために,脱灰標本より通法に従い厚さ約3~5μmの水平断連続切片を作製し,ヘマトキシリン・エオシン染色の一般組織染色により各週齢による歯根膜面積を計測した.歯根膜内の分裂細胞活性はProliferating cell nuclear antigen (PCNA)活性免疫染色を行い,各週齢による陽性細胞数を歯根膜の近心側と遠心側に2分しそれぞれ定量化した.また同部位にTetrate-resistant acid phosphatase (TRAP)活性染色を行い,各週齢による破骨細胞数を歯根周囲組織改造活性の指標とした. 実験開始2週間後,矯正的歯の移動量は加齢に伴い減少した歯根膜内における細胞の分裂能を示すPCNA陽性細胞数は加齢に伴い減少する傾向が認められたが,全ての週齢においてPCNA陽性細胞数は対照群に比べ上昇した.また,破骨細胞数は加齢に伴い有意に減少していた.以上より,加齢による歯根膜内の細胞分裂能の減少は,歯根周囲組織の改造活性能を低下させ,矯正的歯の移動量に影響を与える可能性が示唆された.
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