2009 Fiscal Year Annual Research Report
歯の早期喪失が海馬での神経細胞新生と神経細胞死に与える影響
Project/Area Number |
21792105
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
市橋 幸子 Asahi University, 歯学部, 助教 (70515634)
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Keywords | 海馬 / ストレス / 咬合不全 / 神経細胞新生 / 神経細胞死 |
Research Abstract |
2009年度は歯の早期喪失が海馬に及ぼす影響を明らかにするため、Morris水迷路学習テストと抗BrdU抗体による免疫組織染色を行い、空間認知能と海馬神経細胞新生数との関係を検討した。 行なった実験方法を具体的に示すと、実験には1か月齢(若齢期)の雄のSAMP8を用いた。早期喪失群はマウスの上顎臼歯に抜歯処置を行った。抜歯処置後、1週間、4か月および8か月まで通常の方法でマウスを飼育し、各月齢のマウスをコントロール群と歯の早期喪失群に分類した。コントロール群には抜歯処置以外の早期喪失群と同様の処置を行い、同様の方法で飼育した。抜歯処置1週間後、4か月後および8か月後のマウスで、モリス水迷路学習テストを1日4回ずつ1週間実施し、歯の早期喪失と空間認知能との関係を検討した。次いで、水迷路学習テスト終了後、BrdUをマウスに腹腔内投与し、翌日4%パラホルムアルデヒド溶液で灌流固定し、速やかに脳を摘出した。後固定の後、厚さ40μmの組織切片を作製し、抗BrdU抗体を用いてABC法で免疫染色を施した。最後に、両群の海馬歯状回におけるBrdU陽性細胞数を定量的に計測した。 モリス水迷路学習テストでは、コントロール群と歯の早期喪失群の両群で経日的にプラットホームへの到達時間が短縮した。また、5か月齢、9か月齢の歯の早期喪失群のプラットホームへの到達時間の短縮ペースはコントロール群に比較して有意に延長した。さらに、歯の早期喪失群の海馬歯状回におけるBrdU陽性細胞数はコントロール群に比較して有意に減少していた。 以上の結果から、歯が早期喪失したマウスでは、海馬歯状回での細胞新生が抑制される結果、海馬への神経細胞供給量が減少し空間認知能が障害されるものと考えられた。
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Research Products
(2 results)