2009 Fiscal Year Annual Research Report
歯周炎病態、リスク診断のこれから:インターロイキン6受容体の可能性を探る
Project/Area Number |
21792114
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小松 康高 Niigata University, 医歯学総合病院, 助教 (40422597)
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Keywords | 歯周炎 / IL-6 / IL-6受容体 |
Research Abstract |
可溶性IL-6受容体(sIL-6R)の歯周炎病態形成への関与、臨床マーカーとしての可能性を検索することを目的にプロジェクトを実施中である。今年度は、血清サンプル採取と健常者での免疫細胞上のIL-6R発現解析をIL-6R遺伝子多型ごとに行い、以下知見を得ている。 (1) 歯周炎患者(N=44),健常者(N=95)の血清IL-6,sIL-6R,sgp130レベルの測定および遺伝子型の同定を行なった。血清タンパクレベル、遺伝子多型の頻度は過去の報告と一致していた。 (2) 免疫細胞上IL6R発現解析:IL-6R-183(G/A),+48892(A/C);(G/G)(A/A):N=4,(A/G)(A/C):N=3,(A/A)(C/C):N=3の3群で比較した。多核細胞(PBMC)、リンパ球及び単球いずれの場合も、(A/A)(C/C)遺伝子型において有意に低いIL-6R発現を示した。 ● PBMC : VS.(G/G)(A/A)p=0.03,VS.(A/G)(A/C)P=0.03 ● リンパ球:VS.(G/G)(A/A)P=0.03,VS.(A/G)(A/C)P=0.03 ● 単球:VS.(G/G)(A/A)P=0.03,VS.(A/G)(A/C)NS 過去に我々は慢性歯周炎患者群でIL-6R+48892 A allele保有者が有意に多いことを報告した。この部位は塩基配列上、免疫細胞上のIL-6RからsIL-6Rが生じる重要な部位であり、今回の結果からC alleleはAalleleに比較し有意に切断が亢進し、血清sIL-6Rレベルの上昇を引き起こすため、免疫細胞上のIL-6R発現が低下することが示唆された。しかし、生じたsIL-6Rは通常のタンパクと違い、IL-6生理作用発現ができなく、antagonist作用となるため歯周炎病態形成には否定的な役割を果たしうるのではないかとする仮説が浮上した。
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