2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規T細胞サブセットTh17を基盤とした歯周炎病態メカニズムの再構築
Project/Area Number |
21792116
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
奥井 隆文 新潟大学, 医歯学系, 特任助教 (10509540)
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Keywords | Th17 / Treg / IL-17 / FOXP3 / サブセット転換 / CD4^+T細胞ライン / フローサイトメトリー / 免疫組織学的解析 |
Research Abstract |
本研究では、歯周炎病変部におけるTh17に注目して、Th1/Th2パラダイムでは説明がつかなかった歯周炎病態メカニズムを解明することを目的とした。昨年度は、慢性歯周炎患者の歯肉組織および末梢血からCD4^+T細胞ラインを樹立して比較解析し、歯肉組織由来ラインでは末梢血由来ラインよりもFOXP3^+細胞(FOXP3:Tregのマスター遺伝子)の割合が低いが、IL-17A^+細胞の割合が高いことを報告した。本年度においては、10名の患者から歯肉組織を採取して連続凍結切片を作製し、ポケット上皮側および口腔上皮側直下の結合組織部位を免疫組織化学的に解析した。結果、ポケット上皮側では口腔上皮側に比較して、IL-17^+FOXP3^-細胞(いわゆるTh17)の浸潤が亢進していた。興味深いことに、ポケット上皮側ではIL-17とFOXP3の両方で染色されるIL-17^+FOXP3^+細胞が高頻度に同定された。 IL-17^+FOXP3^+細胞の浸潤数は炎症の指標となるCD3^+T細胞の浸潤数と正の相関があった。以上の結果より、歯周炎病変部においてIL-17^+FOXP3^+細胞が炎症応答の増強に関与している可能性が示唆された。近年、Foxp3^+TregはIL-1βやIL-6などの炎症性サイトカインのもとでTh17にサブセット転換することが報告され、このサブセット転換と様々な疾患との関連が調べられている。歯周炎病変部ではこれらの炎症性サイトカインが豊富に存在することより、今回確認されたIL-17^+FOXP3^+細胞はTregに由来するTh17であるかもしれない。今後、この特殊なサブセットが歯周組織破壊に与える影響について詳細な検討が必要である。
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