2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯周ポケット形成を伴ったラット歯周炎モデルを確立し、接合上皮破壊機序を解明する
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21792125
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉永 泰周 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (60452869)
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Keywords | LPS / 歯周ポケット形成 / 歯槽骨吸収 / 免疫感作 / 歯周炎モデル |
Research Abstract |
歯周炎は歯周ポケット形成および歯槽骨吸収を特徴とするプラーク中の細菌による感染性疾患である。さらに細菌と宿主の免疫系の相互作用がその発症や進行に関与していると考えられている。また疾患のメカニズムを解明するためには疾患モデルの確立は必要不可欠である。しかし歯周ポケット形成および歯槽骨吸収を伴った歯周炎モデルは報告されていない。 我々はこれまでLPSをラット腹腔内投与による免疫感作と、歯肉溝内へのLPS局所投与(24時間毎に10回)により歯周ポケットが形成されることを確認している。さらに今回LPS局所投与を30回行った結果、投与を行った口蓋側歯槽骨表面に多数の破骨細胞が出現し、その骨頂部の高さは減少していた。これらの結果により歯周炎の臨床的特徴である歯周ポケット形成および歯槽骨吸収を伴ったラット歯周炎モデルを確立した。 さらに非感作ラット群と比較して感作ラット群では、歯周ポケット形成や歯槽骨吸収量において有意に増加しており、全身的な免疫感作がLPS局所投与による歯周組織の破壊を促進する結果となった。実験期間中、感作ラット群ではLPS局所投与5日目より抗LPS血清IgG抗体レベルの上昇が確認され、その増加は実験期間中維持されていた。対して非感作ラット群では20日目よりわずかな上昇が確認された。抗体レベルの変動は歯周ポケット形成や骨吸収と関連しており、抗体の存在が歯周組織破壊に関与していることが示唆された。
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