2010 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性リゾリン脂質の骨・歯周組織に対する影響の解明
Project/Area Number |
21792128
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
臼井 通彦 昭和大学, 歯学部, 助教 (10453630)
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Keywords | LPA / 破骨細胞 |
Research Abstract |
リゾホスファチジン酸(Lysophosphatidic Acid : LPA)はリン酸-グリセロール-脂肪酸という極めて単純な構造をもつリン脂質であるが、細胞増殖、血小板増殖、血小板凝集効果、平滑筋収縮効果、癌の浸潤促進効果など非常に多岐にわたる薬理的作用を有している。上皮細胞において創傷治癒が促進されるとの報告もあるが、骨代謝を担う骨芽細胞や破骨細胞への影響や歯周組織における創傷治癒・組織再生に対する効果は未だ不明である。前年度の研究において、リゾリン脂質LPAが破骨細胞前駆細胞株Raw264.7の細胞増殖には影響を与えないが、破骨細胞形成を促進することを明らかにした。さらに、破骨細胞形成数に有意な差が生じるのは培養7日目であった。次に、培養7日目に観察されたLPAによる破骨細胞形成の亢進がどのようなメカニズムによるものなのかを検証するために破骨細胞形成関連遺伝子であるc-Fos, NFATc1, Fra1, RANKに関してその発現量をReal Time PCR法にて定量した。破骨細胞形成に関連するこれらの遺伝子発現は対照群とLPA刺激群の間に有意な差を認めることはできなかった。 最後にアポトーシス関連因子の一つであるCaspase3の活性化について検討した。破骨細胞形成培養5日目にLPAで処理し、Caspase3の活性化を測定した。LPA処理によりCaspase3の活性化は有意に抑制された。 さらに、破骨細胞形成と同様にLPAのインヒビターであるKi16425で処理するとその抑制は解除された。すなわち、Caspase3活性化の抑制はLPA-LPA受容体のシグナル伝達が関与することが示唆された。 以上の結果より、LPAはCaspase3の活性化を抑制し、apoptosisを低下させることのより、破骨細胞数を増加させることが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)