2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21792132
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田中 秀樹 Nihon University, 歯学部, 専修研究員 (90434076)
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Keywords | ニコチン / 破骨細胞 / 炭酸脱水酵素 / サイトカイン |
Research Abstract |
喫煙は、歯周病における環境面からみた最大のリスクファクターであり、歯周病の発祥や進行および治療効果の低下に大きく関与することが指摘されている。タバコの成分の中で最も含有量の多いニコチンに着目し、ニコチンが骨芽細胞と破骨細胞前駆細胞との細胞間相互作用後の成熟破骨細胞の機能発現に及ぼす影響を調べたところ、成熟破骨細胞が骨無機質を溶解する際に必要な酸産生酵素(CAII)の発現がニコチン存在下では大きく増加する結果を得た。しかしこの現象がニコチンの直接作用によって起こるのかニコチン刺激によって破骨細胞前駆細胞が産生する炎症サイトカインなどによる間接的作用が関与しているかは不明である。これを解明するために以下の実験を行った。α7ニコチン受容体の遺伝子発現は検出されたが、ニコチン刺激による顕著な差は認められなかった。ニコチン刺激により遺伝子発現およびタンパク発現においてもCAIIの発現は増加したが、ニコチン受容体阻害剤であるD-tubocrarine同時添加によりCAIIの発現はcontrol levelにまで低下した。この結果から、本実験により得られた発現の変化はニコチンの作用によるものであることが確認された。刺激後24時間の培地を用いて上清中における破骨細胞の分化に重要な働きを示すサイトカインである、IL-1α、IL-1β,TNF-α,IFN-γ等を調べた。無刺激群に比ベニコチン刺激群で発現が増加した主なサイトカインはIL6、減少したサイトカインはTNF-αであった。CA2の発現増加にはこれらのサイトカインのautocrine作用の影響が関与している可能性が示唆された。
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