2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21792132
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田中 秀樹 日本大学, 歯学部, 専修研究員 (90434076)
|
Keywords | ニコチン / 喫煙 / 歯周病 / 破骨細胞 |
Research Abstract |
喫煙は歯周病における環境面からみた最大のリスクファクターであり、歯周病の発症や進行および治療効果の低下に大きく関与することが指摘されている。申請者はタバコの中で最も含有量の高いニコチンが破骨細胞におよぼす影響を調べた。破骨細胞としてRAW264.7細胞以下(RAW細胞)を用いた。まず、RAW細胞を各種濃度のニコチン(0,1^<-5>M,10^<-4>Mまたは10^<-3>M)で刺激後により、α7ニコチン受容体の遺伝子発現は有意に増加した。破骨細胞様細胞の形成が認められる培養5日目以降,CA II発現は上記濃度のニコチン刺激によって有意に増加した。一方,カテプシンKおよびMMP-9発現は10^<-4>Mおよび10^<-3>Mニコチン刺激によって有意に低下した。また、ニコチンがRAW細胞の各種炎症性サイトカイン発現およびPGE_2産生に与える影響を検討した。RAW細胞を上記の濃度のニコチンで刺激後,IL-1β,IL-8およびTNF-αの遺伝子発現を調べた。その結果,これらのサイトカイン発現は,10^<-3>Mニコチン刺激によって有意に増加した。また,ニコチン刺激で増加したこれらのサイトカイン発現は,ニコチン受容体アンタゴニストの同時添加によって,コントロールレベルまで低下した。RAW細胞を種々の濃度のニコチンで刺激後,PGE_2産生に不可欠なCOX-1およびCOX-2の遺伝子発現に及ぼす影響を調べた。その結果,COX-1発現にはニコチン刺激の影響は認められなかったが,COX-2発現は培養5日目までの早い時期にニコチン刺激によって有意に増加した。ニコチン刺激によって増加したCA II発現は,COX-2阻害剤の同時添加によって,コントロールレベルに対して約35%低下した。これらの結果から,ニコチン刺激によって増加したCA II発現にはPGE2によるオートクリン機構が35%程度関与している可能性が示唆された。
|