2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規サイトカイン インターロイキン35 の歯周組織における役割の検討
Project/Area Number |
21792134
|
Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
三谷 章雄 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (50329611)
|
Keywords | IL-35 / 歯周組織 / 制御性T細胞 / 歯学 / 免疫学 |
Research Abstract |
歯周病は歯周組織における慢性炎症性破壊を特徴とし、T細胞を中心とした免疫応答が関与している。歯周病において、近年注目されているT細胞サブセットであるTh17細胞や制御性T細胞(Treg細胞)が関与することが示唆されており、今後これらのサブセットやそれらに関連したサイトカインの歯周病病態における役割を解明する必要がある。最近同定されたサイトカインであるIL-35は、Treg細胞から産生され、Treg細胞の持つ調節性の一部を担う重要な抑制性サイトカインであろうと考えられているが、今のところ、歯周病におけるIL-35の役割は全く不明である。そこで、今回、申請者は、歯周病病態での免疫応答におけるIL-35の役割を明らかにすることを目的として、歯周病患者におけるIL-35の同定および産生能の差の検討を行う予定である。 GCFサンプルを解析した結果、興味深いことに、歯周病患者において健常者よりもIL-35の産生が高いことが分かった。さらに、組織サンプルより抽出したRNAのqPCR解析によりIL-35のサブユニットであるp35およびEBI3のmRNA発現は、健常組織群に比べ、歯周病患者群のp35およびEBI3 mRNA発現が高いことも明らかとなった。現在、同p35およびEBI3の免疫染色を行っており、同様の結果がタンパクレベルでも確認することができれば、英文雑誌に投稿する予定である。IL-35は主に抑制性のサイトカインと考えられており、本研究により、IL-35が抑制的な働きのほかにも、積極的な感染防御のフェーズにも関与していることが示唆される。このことは、大変興味深く、免疫学の未知なる部分の解明のために、今後さらなる研究が望まれる。今後、患者末梢血のTreg細胞におけるp35およびEBI3のmRNA発現やマウス破骨細胞形成系におけるIL-35の影響を検討していきたいと考えている。
|
Research Products
(17 results)