2010 Fiscal Year Annual Research Report
Beta-defensin-2産生による歯周自然免疫活性化機構のメカニズム解析
Project/Area Number |
21792137
|
Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
田口 洋一郎 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (60434792)
|
Keywords | ペプチド / 上皮細胞 / 炎症 / 歯周病治療 |
Research Abstract |
ヒトbeta-defensin-2(hBD-2)は,システインに富む陽イオンの抗菌ペプチドの一つであり,微生物およびTNF-alphaやIL-1betaなどの炎症性サイトカインによる刺激で上皮細胞から放出され,歯周病原菌をはじめとするグラム陰性菌に対して,より強い抗菌作用を示し,粘膜表面での初期防御に関与する. 正常歯肉と歯周病罹患歯肉におけるhBD-2の発現の相違やActinobacillus actinomycetemcomitansに対するヒト歯肉上皮細胞(HGEC)の応答性について報告されている一方,我々は慢性歯周炎でよく検出されるP.gingivalisで刺激したHGECからhBD-2が刺激時間に応じて発現することを明らかにした.しかし,歯周疾患が慢性疾患であり増悪期と緩解期を繰り返すことから考えると歯周疾患の病態変化においてのhBD-2の役割はまだ不明である.そこで今回,Porphyrcomonas gingivalisの濃度によってhBD-2の発現と白血球走化性因子であるIL-8の発現との関連性について比較検討した. HGECは,歯周外科治療時に採取された歯肉より分離し継代培養し,3代目を実験に供し,Porphyromonas gingivalisを用いて刺激した.各刺激群と無刺激群の細胞と培養上清を回収し検索した.細胞からはRT-PCR法にてhBD-2 mRNAの発現について検索し,培養上清についてはELISA法にてIL-8の濃度を測定した. その結果,Porphyromonas gingivalisはHGECにおいて経時的にIL-8およびhBD-2の発現を有意に上昇させ,それらは経時的に関連性が認められたが,刺激濃度に依存する発現の差異は認められなかった.したがって,Porphyromonas gingivalis刺激時のHGECにおけるIL-8およびhBD-2の発現は炎症の強さに関わらず炎症性因子が存在すれば生じ,感染初期における自然免疫機構の一端を司ることが示唆される.
|