2009 Fiscal Year Annual Research Report
IGF-Iを用いた顎骨のアンチエイジング治療への挑戦
Project/Area Number |
21792140
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小嶋 郁穂 Tohoku University, 大学院・歯学研究科, 助教 (80447169)
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Keywords | IGF-I / 骨 / アンチエイジング |
Research Abstract |
顎骨の老化防止および成長発育に最も深く関連する物質としてペプチド性成長因子の1つであるIGF-Iに注目した。IGF-Iは種々の組織の成長促進作用を有し、加齢とともにその血中量は減少する。IGF-Iは骨芽細胞、軟骨芽細胞の分化・増殖を促進し、骨形成・骨成長作用を有する。これまでの研究において、IGF-Iにより下顎骨は上顎骨や大腿骨と比較して有意に過成長し、特に下顎骨体部と下顎頭が過成長することが明らかとなった。本研究においては、骨形態学的変化として下顎骨および大腿骨の骨密度の変化を検討した。 実験動物は10週齢Wistar系ラットを用い、IGF-I群にはIGF-I製剤を、対照群には生理食塩水を背部皮下組織に4週間持続投与し、投与中止直後および投与中止4週間後に試料を摘出した。摘出した試料の軟エックス線写真を撮影し、骨密度を計測した。骨密度の計測部位は、下顎頭の関節面および下顎頭の頸部、大腿骨頭の関節面、大腿骨頭の頸部、下顎歯槽骨の皮質骨、下顎歯槽骨の海綿骨とした。 本年度の研究成果として、ラットへのIGF-Iの持続投与により、下顎頭の関節面および下顎頭の頸部、下顎歯槽骨の皮質骨における骨密度は増加することが明らかとなった。また、投与中止4週間後、下顎頭の関節面および下顎頭の頸部における骨密度の増加はみられなくなり、下顎歯槽骨の皮質骨における骨密度は増加したままであった。これらの結果より、下顎頭では血中IGF-I値の増減により骨密度は増減すること、下顎歯槽骨の皮質骨ではIGF-I投与により骨密度が増加するとその後は減少しないことが示唆された。
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