2011 Fiscal Year Annual Research Report
IGF-Iを用いた顎骨のアンチエイジング治療への挑戦
Project/Area Number |
21792140
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小嶋 郁穂 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (80447169)
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Keywords | IGF-I / 骨 / アンチエイジング |
Research Abstract |
近年、種々の組織の成長促進作用を有し、老化防止および成長発育に最も深く関連する物質としてペプチド性成長因子の1つであるIGF-Iが注目されている。IGF-Iは特に骨に対して骨芽細胞、軟骨芽細胞の分化増殖に関与することが知られており、これまでの研究においてIGF-I投与は下顎骨、特に下顎頭に特異的に作用し、下顎頭の長さを伸長させていることが明らかとなった。また、エックス線的および組織学的に下顎頭関節面、下顎頭頸部に骨量が増加していることが示された。本研究においては、下顎頭~頸部の骨量の増加のメカニズムを解析するために、骨芽細胞および破骨細胞について下顎頭を上から下へ軟骨層直下、中間層、頸部の3層に区分し、さらにそれぞれの層を内側、中心部、外側に区分して詳細な部位別の検討をおこなった。 本年度の研究成果として、ラットへのIGF-I持続投与により、以下の事が明らかとなった。(1)下顎頭の軟骨層直下で変化はみられなかったものの、中間層と頸部に骨芽細胞数の有意な増加がみられた。(2)下顎頭の内側極と外側極で骨芽細胞数の有意な増加がみられた。(3)下顎頭の破骨細胞数はいずれの部位にも有意な変化はみられなかった。(4)IGF-I投与による下顎頭の骨芽細胞数の増加は投与中止4週間後に消失していた。以上の結果より、エックス線的・組織学的に骨量増加がみられた部位に一致した骨芽細胞数の増加がみられ、加えて内・外側極で特に骨芽細胞数が増加していることが示唆された。これまでの研究結果と併せて考察すると、IGF-I投与は軟骨性成長を促進し、さらにその伸長した下顎頭の骨組織に対し、内・外側極の活性化した骨芽細胞の働きによる骨の添加が生じると思われた。さらに、血中IGF-I値の増減に伴い、可逆的な骨芽細胞数の増減、その部位に一致した骨量の増減がみられること、血中IGF-I値は破骨細胞数には影響しないことが示唆された。
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