2009 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼による口腔感覚が胃の運動と胃排出に与える影響の解明
Project/Area Number |
21792142
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小嶺 祐子 Tohoku University, 大学院・歯学研究科, 助教 (00431586)
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Keywords | 咀嚼 / sham feeding(擬似咀嚼) / 胃排出 / 胃電図 |
Research Abstract |
【目的】咀嚼動作やそれが引き起こす口腔感覚は、迷走神経を介して消化管運動機能の調節に関与することが知られており、sham feeding(疑似咀嚼)を用いた研究において胃液分泌や胃の運動を賦活することが観察されている。しかしながら、口腔感覚に着目して消化管機能との関係を明らかにした研究は少なく不明な点が多い。本年度は、試験食品の咀嚼とは別に咀嚼動作を与えた場合の胃の運動、胃排出速度を観察し、その分析方法の検討を行うことを目的とした。 【方法】健常成人男性9名を被験者、試験食品は咀嚼なしで嚥下可能な市販介護食を用い、試験食の咀嚼と別に与える咀嚼動作(sham feeding)としてガム咀嚼を用いた。胃の電気的活動の評価には経皮的胃電図法を用いて食事15分前~60分後まで5分毎に周波数分析を行った。食物動態の分析には^<13>C呼気試験法を用いて胃排出速度を算出した。咀嚼条件は、1)試験食を十分に咀嚼2)試験食を咀嚼なしで摂取3)ガム咀嚼10分後、試験食を咀嚼なしで摂取、の3条件とした。 【結果と考察】3条件間で胃排出速度の評価パラメータに統計学的な有意差は認めなかった。 胃電図全帯域(0.023~0.079HZ)パワー値について、3咀条件間の比較を行った。その結果、試験食を十分に咀嚼した条件1は、食後15分~45分に高値を示しその後低下した。咀嚼を行っていない条件2は食後15分から上昇するものの、その値は条件1よりは小さかった。一方、条件3は食後10分でピークまで上昇し、その値は条件1,2と比較して有意に大きくなり(p<0.05)、その後は条件2と同程度に低下した。試験食摂取60分後では、条件1,3が同程度であり、それらと比較して条件2は有意に低値(p<0.05)であった。 今回の結果からは、ガム咀嚼による試験食とは別の咀嚼動作が胃排出速度を変化させるには至らなかったが、胃の電気的活動を変化させることが明らかになった。今後、試験食、咀嚼動作の時間・タイミング等についてさらなる検討を行う予定である。
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Research Products
(4 results)