2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21792145
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
若杉 葉子 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (20516281)
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Keywords | 摂食・嚥下障害 / 誤嚥 / 喀出力 |
Research Abstract |
本年度は、データの解析を行い、昨年度学会発表した内容を論文にまとめた。現在投稿準備中である。 本研究は、摂食・嚥下のプロセスにおいて重要な防御反射である咳反射の運動的側面に関する研究であり、摂食・嚥下障害患者が誤嚥した際に誤嚥したものを喀出できるか否かを調べ、喀出力に影響を及ぼす因子を同定することにあった。35名の当院入院患者(頭頸部腫瘍患者)を対象としてデータを採取した。調査項目として、全身状態(年齢、性別、BMI、Alb値、既往歴、喫煙歴、術後経過日数、手術術式)を聴取し、フローメーターを用いてカフピークフローを測定し、スパイロメーターを用いて肺気量分画測定、フローボリューム検査、呼吸筋力測定を行った。また、嚥下機能検査としてVFを行い、VF上の所見と比較し、喀出力に影響を与える因子を検討した。多重ロジスティック回帰分析を行ったところ、液体誤嚥時、とろみ誤嚥時ともに喀出の可否に最も影響を与える因子は声門下侵入深度であった。液体誤嚥群では、時間とともに声門下侵入深度が深くなり、激しいムセが見られた場合でも、侵入深度が深いと全く喀出されなかった。喀出されたものは声門直下にある状態で咳が生じた場合のみであり、液体は誤嚥したものを喀出することよりも、誤嚥を未然に防ぐことの方が重要であると考えられた。とろみ誤嚥群は、術後経過日数も関係していた。また、液体のように時間経過とともに深く侵入する傾向は見られず、最初に気管内に侵入した位置に影響を受ける傾向が見られた。しかし、深度が深くても爆発的呼気により喀出可能な場合もあり、液体より呼吸機能に影響を受けると考えられた。 摂食・嚥下障害患者が誤嚥した場合、喀出の可否は誤嚥物の物性により異なり、また咳が生じるまでの声門下侵入深度に大きく依存する傾向があることがわかった。以上の所見は摂食・嚥下障害患者を診察する上で重要な所見であると考えられた。
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Research Products
(2 results)