2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔乾燥症患者における人工唾液・保湿剤の選択に関するガイドライン
Project/Area Number |
21792157
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
岡根 百江 昭和大学, 歯学部, 助教 (30514731)
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Keywords | 口腔乾燥 / 唾液分泌低下 / 口腔保湿剤 / 維持力 |
Research Abstract |
【目的】現在、口腔乾燥症患者向けに人工唾液や保湿剤が多く市販されている。本年度は特に唾液分泌が低下している有床補綴装置装着患者において、装置の維持安定に口腔保湿剤の応用が可能かどうか検討を行った。 【方法】試料は口腔保湿剤21種類(スプレー、リキッド、ジェル)と人工唾液1種類、唾液類似液3種類、義歯安定剤2種類(クリーム)を選択した。 維持力測定試験:上顎顎堤模型(G10 FE-402K、ニッシン)を印象採得し、加熱重合レジンにて実験用床を製作した。模型と実験用床との間に十分な量の試料を介在させ、実験用床をばねばかりを用いて牽引した。実験用床が模型から脱離する最大値を維持力とした。統計解析は一元配置分散分析と多重比較法を行った。 【結果と考察】維持力測定試験:スプレー(3.6N)は、人工唾液(5.4N)、唾液類似液(7.6N)と同程度であったが、リキッド(14.4N)はやや大きく(p<0.05)、ジェル(30.1N)はさらに大きい値を示し(p<0.05)、義歯安定剤(36.0N)と同程度であった。昨年度測定した各試料の粘度の測定値と維持力の測定値との間には有意な正の相関が認められた(r=0.58、p<0.01)。粘度の大きい口腔保湿剤のジェルタイプは義歯安定剤と同等の維持力を発揮し、補綴装置の維持力を上昇させる可能性が示唆された。 以上のことより、唾液分泌が低下している有床補綴装置装着患者において、装置の維持安定のために口腔保湿剤応用の可能性が示された。
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