2009 Fiscal Year Annual Research Report
心理・生理指標測定による安楽な入院環境に関する検討
Project/Area Number |
21792167
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡邊 生恵 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (30323124)
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Keywords | 看護学 / 環境 / 病室 / 心拍変動 |
Research Abstract |
現在、入院患者一人あたりの広さは6.4m^2と定められているが、多床室内のベッド配置によっては隣ベッドと非常に近い距離になる場合がある。しかし、この広さが更衣などの生活行動を行う場合にも適しているのかという点については検討されていない。本研究では、隣ベッドに他者のいる環境で、更衣などの生活行動を行う際の、患者の心理的変化と生理的変化を明らかにし、患者の安楽に必要な療養空間を検証することを目的としている。生理指標として、心電図測定により自律神経活動を鋭敏に表す心拍変動解析を用いた。この結果は身体活動により大きな影響を受けることから、第一に更衣動作という身体活動による影響を明らかにするために、姿勢・更衣動作の違いによる心拍変動解析を行った。次に、病室に近い環境であり、かつ対人距離による影響を効果的に測定できる実験条件を検討した。20歳代の健康な6名を対象に、心電図測定による心拍変動解析を行った。その結果、ベッド上座位での更衣時には心拍変動への影響は小さく、椅座位では大きくなる傾向がみとめられた。また、ベッド上座位での更衣時には、隣ベッドとの距離が近い位置では安静時・遠い位置に比較し、心拍数が上昇し、副交感神経活動の指標が低下する傾向がみとめられた。また交感神経活動の指標は、遠い位置では安静時・近い位置に比較し低下する傾向がみとめられた。このほか、ストレス反応の客観的評価として唾液アミラーゼ測定も行ったが、対象者間のばらつきが大きく、一定の傾向はみとめられなかった。現在、これらの結果をもとに実験条件を再設定しており、今後対象者の年齢などとの関連を検証する予定である。
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