2010 Fiscal Year Annual Research Report
心理・生理指標測定による安楽な入院環境に関する検討
Project/Area Number |
21792167
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡邊 生恵 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30323124)
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Keywords | 看護学 / 環境 / 病室 / 生理学的変化 |
Research Abstract |
入院患者一人あたりの広さ(6.4m^2)が生活行動を行う場合に適しているのかという点について、昨年度の予備実験を踏まえ、実験により検証した。実験は、多床室を再現した部屋(カーテン越しに他者のいる空間、約6.4m^2)を再現し、実験対象者と他者(実験協力者)間の対人距離の異なる条件において、更衣動作時の心拍数、自律神経活動の指標であるHFおよびLF/HFを測定・解析した。対人距離の条件は、1:カーテンを境界とし対象者・協力者が最も近い位置(50cm)、2:対象者はベッドを間にはさみカーテンから離れる位置(200cm)、3.協力者はベッドをはさみカーテンから離れる位置(200cm)、4:対象者・協力者ともベッドを間にはさみカーテンから離れる位置(400cm)であり、被験者内計画とした。更衣動作は、各距離のイスに座った姿勢で、パジャマの上着を着替えることとした。また同距離条件における安静時にも同様に測定を行った。対象者は、20~40歳代の健康な男女12名であった(男性9名、女性3名)。Pretest時と各距離での更衣時および安静時との生理指標の変化を比較した結果、全対象者では心拍数、HF、LF/HFに有意な変化はみとめられなかった。男性のみを対象とした場合、いずれの距離においても更衣動作時における心拍数がpretest時に比較し有意に大きかったが距離条件間の差はみとめられなかった。また、更衣動作時におけるLF/HFが距離4でのみpretest時に比較し有意に大きく、交感神経活動が亢進している可能性が示された。副交感神経活動の指標とされるHFには安静時および更衣動作時とも有意な変化はみとめられなかった。本実験では、同室内にいる他者との距離による明らかな生理的影響は示されなかったが、実験条件の違いや性差による影響について、今後も検討していく必要がある。
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