2009 Fiscal Year Annual Research Report
褥瘡発生に関わる基礎的研究―皮膚・筋肉の構成細胞の加圧刺激に対する応答―
Project/Area Number |
21792175
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
高田 直子 Shiga University of Medical Science, 医学部, 講師 (10432303)
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Keywords | 褥瘡 / 皮膚線維芽細胞 / 筋管細胞 / 機械的刺激 / 発生要因 |
Research Abstract |
本研究の目的は、褥瘡発生プロセスには圧という機械的刺激への細胞応答に始まる一連の細胞反応が関与するという仮説を検証することである。 平成21年度の研究結果としては、新たに圧に対して反応する遺伝子を確認できた。これは、これまで褥瘡に関与する可能性が述べられていないタンパク質の遺伝子で、現在褥瘡発生および治癒過程との関連を検討中であるため、本報告書での詳細発表は控える。この遺伝子と褥瘡発生の関連性が明らかになることで、褥瘡予防に関する新たな知見が確立すると考える。 ストレスタンパクであるヒートショックプロテイン(HSP)70は、皮膚線維芽細胞への加圧刺激によってその遺伝子発現が増加することは3次元培養による実験ですでに証明していたが、今回、免疫染色によって初期褥瘡(stage I)の真皮層に発現していることが、明らかにできた。このことは、stage Iの褥瘡は圧という機械的刺激や低酸素状態など何らかの刺激によって、真皮層の細胞が傷害されることにより引き起こされる可能性を示している。 また、より生体に近い環境すなわち圧で弾力を失いにくい皮膚のモデル系の作成を目指し、単層培養したヒト皮膚線維芽細胞およびマウス由来の筋管細胞を、カイコフィブロインスポンジ内で培養した結果、増殖は確認できているが、現在、より増殖が活発化する培養方法について回転しながらの培養や振動を与えながらの培養など種々の培養方法を実践しながら検討している。
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