2009 Fiscal Year Annual Research Report
殿部筋肉内注射部位を簡便かつ正確に特定する方法確立の検討
Project/Area Number |
21792194
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
原 好恵 (佐藤 好恵) Sugiyama Jogakuen University, エクステンションセンター, 講師 (20441397)
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Keywords | 看護技術 / 筋肉内注射 / 殿部 / 看護学 |
Research Abstract |
殿部筋肉内注射部位として選択される「クラークの点」の安全性について追究するために、中殿筋前方筋腹で神経・血管を損傷しない領域として股関節の手術的アプローチ法に用いられる「Jacobsらの領域」(大転子から近位5cm幅の領域)との比較検討を行った。対象はA大学解剖セミナーに供された解剖実習体17体32側の殿部とした。各部位の特定方法として、「クラークの点」は同一の測定者が実測により決定し、「Jacobsらの領域」は大転子上縁中点から腸骨稜、上前腸骨棘に延ばした線上の大転子上縁中点から5cmの部位を目印とした。各部位の神経・血管の走行や皮下組織・筋の構造などを観察し、殿部筋肉内注射の適切な部位を検討した。 「クラークの点」の皮下組織厚は他に比べて厚い傾向があるが、皮下組織の直下には大半で中殿筋が分布していた。「Jacobsらの領域」の皮下組織厚は薄いが、皮下組織の直下に大腿筋膜張筋が分布している例が多く見られた。よって「Jacobsらの領域」は、刺入深度の観点では中殿筋内に注射針を刺入しやすいが、大腿筋膜張筋を貫通する可能性があるため、腱様組織に好発する筋拘縮症発症の危険性を考慮する必要があると考えられた。 また、「Jacobsらの領域」において中殿筋深層に上殿神経・動静脈が走行している例が見られた。中殿筋の尾側になるにつれて中殿筋が薄くなることから、「Jacobsらの領域」はこの中殿筋深層の上殿神経・動静脈を誤って刺入する危険性が高いため、るい痩の認められる対象者への筋肉内注射部位としては適切ではないと考えられた。
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Research Products
(4 results)