2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21792201
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柴山 大賀 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (80420082)
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Keywords | 看護学 / 糖尿病 / セルフケア / 行動変容 / 病気認知 / 感情 / 健康行動理論 / 健康心理学 |
Research Abstract |
糖尿病の自己管理行動に影響する変数は数多く存在すると考えられるが、これらの変数間の関係性を示す全体像については明らかでない。本年度は、糖尿病の自己管理行動の影響要因と考えられる変数を内容的に統合、整理することを目的とし、医学的、心理学的(自己効力感、コントロール所在、ストレスコーピングなど)、社会文化的(職業、学歴、信仰、倫理観など)、環境的(家族構成、生活環境)、政治経済的(収入など)、行動理論的(汎理論的モデル、計画的行動理論、健康信念モデル、社会的認知理論など)な見地に基づいて、国内外の先行研究のレビューを行った。その結果、量的研究のほとんどは回帰分析的手法に基づいて行動に直接関連する要因を明らかにすることを目的としており、患者を取り巻く環境要因が持つと考えられる行動への間接的な影響、すなわち媒介変数や調節変数の影響を明らかにしたものは少なかった。構造方程式モデルを用いて媒介変数に言及した一部の研究についても、療養行動を取り巻く環境のごく一部を扱うにとどまっていた。一方、理論上は、LeventhalらのCommon Sense Modelが、慢性疾患患者の行動を規定する直接の要因として患者の病気認知と感情、自己認識を挙げ、さらにそれらに影響を与えうる要因として自己の体験や、社会的、環境的要因までをも包含している点で、複数ある健康行動理論の中では最も優れていると考えられた。この理論は現在もなお検証と開発の過程にあるが、自らの研究テーマを深めていく上で強力な理論的基盤になると考えられ、今後はまずこの理論の構成概念を測定するための日本語の尺度開発が急務である。
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