2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21792212
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
師岡 友紀 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40379269)
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Keywords | 生体ドナー / QOL / 生体肝移植 / 尺度開発 / アウトカム評価 |
Research Abstract |
本研究は、生体肝提供を行った移植ドナーに特異的なQOL(Quality of Life:生活の質)を測定する尺度を開発することを目的としている。新たな尺度開発により生体肝提供手術のアウトカム評価を鋭敏に行うことが可能となり介入研究や比較研究など臨床研究に活用できる手段(ツール)が得られる。また術後の経時的な変化をとらえやすくなるとともに、ドナー候補者の意思決定および術後の生活や健康評価に役立つ資料を提供できると考えられる。 本年度は、昨年度の面接調査の成果として「生体肝ドナー術後QOLの構成要素」に関して学会発表および論文発表(未刊行)を行った。生体肝提供術後のドナーは、「キズ」「消化器症状による不快感と負担感」「臓器切除や喪失への思い」「手術のダメージ」「理解されにくい不健康感」「費用負担に惹起される移植医療への思い」「意思決定に対する納得感」の7つの要素により術後のQOLを評価していることが明らかになった。それらの概念枠組みに基づき、QOL調査票を作成するとともに、大規模調査の実施に向け、計5施設の担当者と調整を行った。4施設における倫理審査申請を行い承認を得た(1施設は現在申請手続き中)。調査協力施設は、大阪大学医学部附属病院、北海道大学病院、東北大学病院、広島大学病院、九州大学病院である。 4施設のドナー約500名のドナーに対し、無記名自己式調査を郵送法により実施した。現在、作成した生体肝ドナーQOL尺度の信頼性妥当性の検討(回答結果の単純集計、SF-36との比較検討、背景要因による差異、QOLの各要因間の関連性)を行っている。今後、残る1施設の調査実施を行うとともに、得られた結果の分析を進め、成果の発表(学会発表および論文投稿)の予定である。
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