2009 Fiscal Year Annual Research Report
クリティカルケアで急性死別を経験した遺族の複雑性悲嘆へのリスク評価尺度の開発
Project/Area Number |
21792217
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
立野 淳子 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 講師 (90403667)
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Keywords | 遺族ケア / 悲嘆反応 / 複雑性悲嘆 / クリティカルケア / 死別 |
Research Abstract |
平成21年4月から5月に、遺族研究に関する文献検討を実施した。その結果、わが国のクリティカルケアにおける遺族研究では、遺族へのお悔やみ状の配布や個別面談など各施設の取組が実践報告されるようにはなったものの、その報告数は少なく、ほぼ手つかずのテーマであることが明らかになった。わが国のクリティカルケア以外の領域における遺族研究では、遺族の悲嘆反応の特徴について明らかにしたものや、悲嘆反応に影響する要因の検討、癌により家族員を失った遺族の悲嘆反応の終結時期等に関する調査が行われていた。また、国外では、悲嘆反応の緩和や、複雑性悲嘆の治療に関する介入研究が積極的に検証されていることを確認した。本研究では、クリティカルケアで死別体験をした遺族に活用できる複雑性悲嘆へのリスク評価尺度の開発を目的としていたが、文献検討の結果、その前段階として、クリティカルケアで予期していない死別を体験した遺族の悲嘆反応の特徴および悲嘆反応に影響する要因について明らかにする必要性を見出すことができた。 そこで、救急部または救命救急センターを有する2施設の救急領域および集中治療領域で予期していない死別を体験した遺族を対象に、質問紙を用いた聞き取り調査を実施することを計画し、6月にデータ収集施設の倫理審査委員会に申請した。調査内容は、急性死別に対するストレス度、死別関連および非死別関連ストレッサーの有無と程度、ソーシャルサポート、ストレスに対する対処機制、出来事に対する知覚等とした。倫理審査委員会から承認の得られた9月よりデータ収集を開始し、3月までに53名のデータ収集を実施した。来年度は、対象者数が70名に達するまでデータ収集を継続し、遺族の悲嘆反応の特徴および悲嘆反応に影響する要因の構造を共分散構造分析により明らかにすることとする。その結果を受け、リスク評価尺度の開発に向けた質問項目案の策定を目指したい。
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