2010 Fiscal Year Annual Research Report
クリティカルケアで急性死別を経験した遺族の複雑性悲嘆へのリスク評価尺度の開発
Project/Area Number |
21792217
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
立野 淳子 山口大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90403667)
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Keywords | 遺族ケア / 悲嘆反応 / クリティカルケア / 複雑性悲嘆 / リスク評価 |
Research Abstract |
本年度は主に、クリティカルケアで急性死別を経験した遺族への聞き取り調査およびデータ分析を中心に行った。これまでに目標症例数である70例に達しデータ収集は終了した。データ収集を行った76名のうち6名はすでに複雑性悲嘆を発症しており質問紙への回答が困難であったため70例を分析対象とした。対象者の背景は、女性が47名(67.1%)、続柄は配偶者が半数を占めていた。45名(64.3%)は無職であった。死別後平均経過日数は382.1日であった。分析の結果、遺族全体の悲嘆反応としては思慕と空虚が最も得点が高く、次いで鬱的な不調であった。死別後1年以上を経過した群は1年未満の群に比べ有意に悲嘆反応が緩和していることが明らかになった。遺族の悲嘆反応に影響する要因には、性別、死別後経過日数、死別に対する認識、サポートの程度、対処機制があった。構造分析の結果、遺族の悲嘆反応に最も影響する要因は、死別に対する認識であることを見出した。死別に対する主観的悲しみの程度が大きいほど、死別に対する後悔や心残りがあるほど悲嘆反応は強くなる傾向にあることがわかった。データ収集および分析の過程において、中間報告として結果を日本看護科学学科に発表した。最終年度である来年度は、遺族の悲嘆反応に影響する要因について探索的に分析を行い、これまでの結果の信頼性を検証し、さらに研究成果を関連学会の学術集会および論文投稿として公表することが課題である。また、研究成果をもとに文献検討を加え、複雑性悲嘆のリスクを評定する評価尺度の開発を目指したい。
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Research Products
(1 results)