2009 Fiscal Year Annual Research Report
乳がん治療経験者の性生活に対する戸惑いと看護職者への期待
Project/Area Number |
21792220
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
青木 早苗 Kochi University, 教育研究部・医療学系, 講師 (40516168)
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Keywords | 乳がん / 治療経験者 / 性生活 / 戸惑い / 期待 / パートナー / 関係性 / 日本 |
Research Abstract |
本研究では、わが国の乳がん治療経験者の性生活に対する戸惑いと、看護職者にどのような支援を期待しているのかを明らかにすることを研究目的としている。 今年度はまず、乳がん・家族に関する文献収集を行い、先行文献の検討を行った。そして、作成したインタビューガイドをもとに、平成21年5月~10月に、30歳代~60歳代の乳がん治療経験者を対象に半構成的面接法を用いてインタビューを行った。インタビューガイドは、乳がんの専門医、また質的研究の研究者にアドバイスをもらいながら何度か修正をした。インタビュー途中で、乳がん治療経験者は、性生活において「戸惑い」だけでなく、パートナーに対して様々な感情を抱いていることが明らかになった。先行文献では、乳がん治療経験者がパートナーとの関係性を語ったものはなかった。そこでまず、乳がん治療経験者の「戸惑い」を分析する前に、データから、「乳がん治療経験者の性生活におけるパートナーとの関係性」を1例ずつ質的帰納的に分析を行った。その結果、乳がん治療経験者は、性生活において「戸惑い」を感じているだけでなく、パートナーに対して、《支え、支え合う「きずな」としての存在》、《元の性生活に戻る》、《生理的欲求を満たす対象》、《互いに踏み込めないことがある》、《身体の変化により性生活に抵抗感がある》、《女性機能を失っても続く関係》、《アンビバレンスな感情》を抱いていることが明らかになった。このような関係性がある上で、来年度はさらに、どのような戸惑いが存在しているのか、看護職者にどのような期待を抱いているのかを質的帰納的に分析していく。今年度のインタビューだけでも、多くの乳がん治療経験者が性生活について相談できる環境や情報の不足を語っており、今後の看護職者への期待が伺えた。
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