2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21792235
|
Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
小野 美穂 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (20403470)
|
Keywords | ピア・サポート / 患者ボランティア / 同病者支援 / 慢性疾患 |
Research Abstract |
医療費の高騰や在院日数の短縮等の理由により、患者は入院中に疾患を受容するのに十分な時間を持てず、様々な不安をかかえたまま退院を強いられるケースが増えてきている一方、患者にとって、同じ病の体験をもつ先輩患者の存在が大きな励みとなり、実生活に即した智恵や工夫は実践的アドバイスとなっている。このような背景を受け、患者ピア・サポーターを育成し、医療者と協働し多面的に患者を支援していく新たなサポートシステムとして展開しているプログラムの評価を行うことが本年度の目的である。 各事例に関して、支援を受けた患者、ピア・サポーター、医療者の三者に対し、倫理的配慮を行いながらその効果についてインタビュー調査を行い、6事例についてデータを質的に分析した。結果として、支援を受けた患者は、地域や病院で展開している患者会には少し隔たりを感じ参加できない段階の者あるいは体験者へピンポイントで聞きたい内容を持っている者であった。具体的な効果としては、がんを経験し手術を終えた今も仕事をしているピア・サポーターの存在自体が励みとなり勇気を与え、また同じような境遇が深い共感を生み出し安心感を与えていた。そのようなモデルに触れることで、無理をしていた自分の心のズレに気づいたり、言葉が一歩前進する後押しとなったり、姿が将来をイメージさせ今後の具体的な段取りを考えられるようになったり、決めかねていたことへの決意につながったりしていた。また、ピア・サポーターに関しては、自分が今悩んでいる患者のために役に立てるという体験だけでなく、自分を振り返る機会にもなり人としての成長を感じていた。医療者と協働して活動できることに対しても良い印象を持っていた。医療者(主治医)に関しては、介入前後で患者が大きく変化したという認識はなかったが、特に弊害等問題はなく、このままさらに検証を続けていき、より情報を共有していきたい旨を確認した。
|