2009 Fiscal Year Annual Research Report
がん患者および家族への看護相談支援モデルの構築と心理社会的効果の検証
Project/Area Number |
21792240
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
庄村 雅子 Tokai University, 健康科学部, 講師 (40287115)
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Keywords | がん看護 / 看護相談支援 / 多職種連携 / 肝がん / 支援モデル / 国内視察調査 |
Research Abstract |
がん患者と家族への相談支援は,政策的にがん診療連携拠点病院では相談支援センターの設置が義務づけられたが,担当職種や体性は施設格差が大きい。心理社会的支援としてのがん看護相談支援モデルの構築へ向け、本研究は、がん看護相談の立ち上げ手続きと実際の看護相談過程での関連職種および患者・家族とのかかわりの参加観察と質的帰納的分析から、体制を築く上での問題と課題を示すことを目的とした。 研究対象者は、医師・看護師各50名、患者・家族54組などだった。連携の便宜上、肝がんにしぼり相談を受けた。相談開始前手続き期間は2008年8月~2009年3月、相談開始から2010年2月末までに58組の患者と家族の相談を実施し,43組が継続中である。看護相談の立ち上げ過程の問題と課題は、(1)倫理審査にかかる時間と労力、(2)多職種間の調整の不確かさ、(3)看護相談への不信、(4)研究への抵抗感、(5)医師との連携体制づくり、(6)看護相談への期待の6つだった。肝がん患者・家族の相談内容は,「最適な食事療法」、「退院後の日常生活での注意」「治療継続の意思決定での迷い」「症状緩和の方法が知りたい」などの医療や栄養的な事柄が主だった。「気軽に質問できる」「馴染んだ顔を見るだけで安心」「相談できる窓口があり頼もしい」等精神的な支えとしての感想も導かれた。 組織の関係者とのかかわりでは、倫理審査に伴う問題、看護師主導の相談への抵抗感、多職種間での連携不足など課題は多い。相談内容は、医療に関わる事柄が多く、精神的な支えとしての成果も見られ看護相談の意義は高いと推察できる。看護相談体制を築くには、患者・家族にとっての相談成果の客観的な成果をエビデンスとして示すよう調査を継続していくことが、組織とのかかわりの課題をクリアしていく上でも必須である。今後は、国内外の視察調査を加え、より実践的で地域を包括した支援モデルの構築に繋げることが重要である。
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Research Products
(3 results)