2010 Fiscal Year Annual Research Report
乳児の授乳拒否と母乳の味の変化から見た乳腺炎の予知
Project/Area Number |
21792248
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
吉田 倫子 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30463805)
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Keywords | 母乳 / 乳腺炎 / 味 / 授乳拒否 / 乳児 / 母親 |
Research Abstract |
助産師の経験知として、乳腺炎に関連して経験的に知られている興味深い現象がある。それは、乳腺炎の前兆において、乳児は、授乳しようとすると泣いたり、乳頭を噛んだりして授乳を拒否するしぐさをするという現象である。乳腺炎の前兆で乳児が授乳を拒否するのは、実際の乳腺炎の発症に先行して、母乳の性状変化が起こっており、母乳の味が変化していることが原因と考えられる。そこで本研究は、乳児が示す授乳拒否と母乳の味の変化との関係及び、乳児の授乳拒否が乳腺炎の予知となり得るかについて検証することを目的とした。前年度は、アンケート調査を行い、乳児の授乳拒否と乳房トラブルには関連があることを報告している。この結果をもとに、今年度(22年度)は、実際の母乳の味の変化を味覚センサを用いて分析し、その結果をまとめた。母乳の味について生化学的に調べられた研究が過去に少ないため、まずは正常な母乳の味の基本情報を明らかにすることを目的に、乳房トラブルのない正常な母乳の味分析を行った。その結果、左右の母乳の味は相関していること、母乳の味は初乳から成乳となる過程で、苦味が増加し、塩味と旨味は低下するが、成乳となった後は味の変化はみられないことが明らかとなった。この結果を基に、乳腺炎時の母乳の味と、乳児が授乳拒否を示す母乳の味についてさらに分析を行った。その結果、乳腺炎時の母乳では、塩味や旨味の増加、酸味や苦味、渋味の低下があった。乳児が授乳拒否を示す母乳の味は、授乳拒否を示さない母乳に比べて、旨味が増加し、苦味や渋味が減少する傾向が考えられた。これらの結果については、日本母性衛生学会で発表し、論文を投稿している。また現在、乳腺炎時の母乳の味の変化に影響している成分を明らかにするために、アミノ酸・糖・脂肪酸・ミネラルの分析を行っている。この結果については、23年度中に学会発表し、論文を投稿する。
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Research Products
(2 results)