2009 Fiscal Year Annual Research Report
EBNに基づく分娩時外陰部消毒に関する研究―水道水を使用した方法の効果の検証―
Project/Area Number |
21792253
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
瀬戸 知恵 University of Fukui, 医学部, 助教 (00436841)
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Keywords | EBN / 分娩時外陰部消毒 / 産婦のQOL / 水道水 / 消毒薬 |
Research Abstract |
本年度は、実際に水道水を使用した分娩時外陰部消毒を実践している病院の現状を明らかにすることを目的とした。水道水を使用して外陰部消毒を行っている病院のうち、本研究に同意の得られた2施設において、見学、助産師へのインタビュー、資料閲覧等により情報収集を行った。調査内容は、施設の背景、分娩時・分娩後のケアの方針および実態、外陰部消毒の実態とその背景、施設内での褥婦・新生児の感染症発生状況である。なお、本研究は福井大学医学部倫理審査委員会の承認を受けた。施設Aは、542床の総合病院で、産科病棟は28床、年間分娩件数約1000件、帝王切開率約8%、助産師数32名であった。外陰部消毒は、4~5年前から、滅菌カップに湯(約90度の水道水をポットで保温したもの)を入れ、滅菌綿花に含ませ、熱くない程度に冷まして陰部周辺を清拭するという方法で行われていた。施設Bは、300床の総合病院で、産科病棟は産科12床を含む混合病棟、年間分娩件数約300件、帝王切開率約20%、助産師数12名であった。外陰部消毒は、約10年前から、通常は何もせず、汚染時のみ滅菌綿花や、それに温湯(水道水)を含ませたもので陰部周辺を清拭するという方法で行われていた。インタビューの結果、両施設共に、水道水のみの外陰部消毒を取り入れたきっかけは、産婦の苦痛への配慮と消毒根拠への疑問であることが分かった。また、医師からも消毒薬の使用は不要との見解を得ており、長期間経過しているが感染等の問題は起こっていなかった。これらのことから、水道水を使用した外陰部消毒は母子の安全面に問題なく、EBNに基づいた望ましい方法であることが示唆された。次年度も引き続きデータ収集を行い、これまでの分娩時外陰部消毒に関する研究結果をまとめ、パンフレットを作成する予定である。なお、今年度の研究成果は、H22年6月に第12回日本母性看護学会学術集会にて発表予定である。
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