2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21792260
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤本 紗央里 Hiroshima University, 大学院・保健学研究科, 助教 (90372698)
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Keywords | 搾乳 / 脂質 / クリマトクリット / 指導 / 母乳育児 |
Research Abstract |
本研究の目的は,母親個人の母乳中の脂質測定に基づいた搾乳指導法を実施することによって,早産児の発育上のニーズに適した母乳育児が実施できることである。 平成21年度の計画は,1.文献・資料収集と分析,2.母乳中の脂質測定に基づく搾乳指導法の考案,3.母乳中の脂質測定に基づく搾乳指導法の実施と評価であった。 文献検討の結果,わが国では母乳中の脂質割合(クリマトクリット値)を個別に算出し,搾乳後半の脂質量の多い高カロリー母乳(後乳)を搾乳する方法を母親に指導している施設はなかった。また「NICUに入院した新生児のための母乳育児支援ガイドライン」においても,前乳と後乳を使い分けることは推奨されているが,具体的な方法は紹介されていなかった。一方欧米では,前乳と後乳を使いわけるために搾乳開始後最初の20~30mlまたは初回射乳後2~3分という参考値が使用されていたが,これら参考値の根拠を示した研究報告はなかった。 そこで,母乳中の脂質測定に基づく搾乳指導法を考案するにあたり,まず搾乳量の増加および搾乳時間の経過に伴うクリマトクリット値の変化を明らかにする必要があると考え,調査を実施した。対象は早産した母乳育児を希望する母親とし,母乳量が子どもの摂取量に満たない母親,母乳採取時の搾乳間隔が6時間以上の母親は除外した。搾乳は前回搾乳の3~5時間後にMedela社製の全自動型電動搾乳器(ダブルポンプ)を用いて行い,分泌量が多い乳房から5gずつ,または30秒毎に別容器に母乳を採取した。なお,クリマトクリット値の測定には同社のCreamatocrit Plus^<TM>を用いた。妊娠22~36週で出産した初産婦7名,経産婦15名を対象に,計65回の搾乳を実施し母乳を採取した。結果については現在分析中であり,平成22年度はこの結果をもとに搾乳指導法を考案し,実施および評価を行う予定である。
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