2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本女性のディスエンパワメントな性行動の自己決定をエンパワメントへ導く方略
Project/Area Number |
21792261
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
芝崎 恵 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (00515546)
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Keywords | 性行動 / 自己決定 / エンパワメント / ディスエンパワメント / 日本女性 / 国際 / 避妊 / 性感染症予防 |
Research Abstract |
日本人カップルの性的予防行動(避妊や性感染症予防)に関するディスエンパワメントおよびエンパワメントな特徴を明らかとすることを目的に、面接調査を実施した。A大学の学生およびスノーボールサンプリング方式により、研究の趣旨に同意を得た20歳代の交際男女7カップルに半構成的面接調査を1時間~2時間半に渡り、1~2回実施した。 年齢は男女共に、20~26歳(平均22.9歳)、交際期間は13~77ヶ月(平均43ヶ月)であった。男女共に、性感染症への危機感が低かった。性的予防行動は、避妊を主な目的として、全カップルが男性用コンドームを使用しており、4カップルがコンドームなしの性交経験があった。前交際相手間では、女性4人がコンドームなしの性交を経験していた。女性2人は同意の上で、1人は男性が優位な関係性で拒否できずにコンドームなしの性交を経験していた。残る1人は同意なく、男性に騙されコンドームを装着してもらえず性交に至った経験をしていた。 交際初めは、性教育や性情報の氾濫の影響を受け、当然の如く男性用コンドームが使用されていた。しかし交際を重ねる中で、就職による経済的・社会的自立、今まで妊娠していないという経験から、性的予防行動が【性的予防行動を緩めあう】【彼に流される】状況が生じ、コンドームなしの性交へと傾く男女双方のディスエンパワトな特徴が明らかとなった。特に女性は、パートナーとの愛情関係を重視する中で予防行動が緩んだり、パートナーに流されコンドームなしの性交へと傾くことが明らかとなった。一方で【ブレーキをかけあう】というお互いを律し合いながら性的予防行動を維持するエンパワメントな特徴も明らかとなった。 知識や理性に訴えるだけでなく、男女それぞれが妊娠や性感染症について自分自身の問題として考える機会や、交際中のカップルまたは疑似カップル間でロールプレイを行いパートナーとの交渉能力の向上を図っていくことが求められる。
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