2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21792264
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森藤 香奈子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70404209)
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Keywords | 小児看護 / きょうだいケア / 染色体障害児 |
Research Abstract |
平成22年度に実施したきょうだいの語りを中心とした学習会で、きょうだいへ説明するための材料である"ダウン症者がどのように老いていくのか"について情報がないこと、「時期的な目安もないままに準備ができない」などの意見が聞かれ、ダウン症者の自然歴についてアンケート調査を実施した。平成23年度は、外見的老化徴候と精神的変化に関する分析を行い、第56回日本人類遺伝学会で報告した。 外見的老化徴候は年齢とともに増加するが、特に30代と50代で有意に増加しており、30代と50代の出現率はそれぞれ『爪の縦溝』が25.7%と56.7%、『瞼のくぼみ』が24,8%と54.2%であった。『皮膚のしわ』、『歯の脱落』は30代から50代にかけて段階的に増加していた。 身体能力では『運動能力』と『活動量』について、30代で半数以上が低下したと感じており、『運動能力』、『活動量』、『視力』の3項目の間には有意な相関があった。 精神状態では、30代の約4割に『感情の変動が激しい』、『怒りっぽい』の変化が見られた。行動では、30代で増加した項目は『内にこもりがち』39.4%、『ADLの介助が必要』71.8%で、『衣服の着脱が困難』は30代で14.2%、50代41.7%であった。 青年期に入って様々な健康問題が表れても総合的にフォローされているケースは稀で、どのように老いるのかについて情報が少ない。本研究は、ダウン症者の長期的経過と生活支援を考える上で重要と考えられる。また、「親よりも(ダウン症である)子どもは長生きする」認識やケア決定め主導者が両親以外の誰かにスムーズに移行するためにも、家族内での情報の共有は不可欠であると考える。
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