2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳死下あるいは心停止後臓器提供を行なったドナー家族の体験
Project/Area Number |
21792278
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高田 幸江 Keio University, 看護医療学部, 助教 (80529371)
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Keywords | ドナー家族 / 臓器提供の体験 / 脳死 / 心停止後 |
Research Abstract |
わが国では移植医療は、腦死下あるいは心停止後のドナーからの臓器提供は少なく生体ドナーからの臓器提供に大きく依存している。イスタンブール宣言を受け、自国の移植臓器は自国で供給する必要性が言われるようになり、わが国でも2009年7月に臓器移植法が改正となった。このため今後は脳死下あるいは心停止後のドナーからの臓器提供が増加する可能性がある。しかし、臓器提供後のドナー家族に関する研究を概観すると、ドナー家族は、大切な家族の突然の死という耐え難い状況にありながら、臓器提供の決断を行なわなければならず、その体験は複雑であることが推測されたが、ドナー家族の臓器提供の体験全体を明らかにしたものは無かった。 これらの背景から、本研究の目的を、わが国で脳死下あるいは心停止後に臓器提供を行なったドナー家族の、ドナーが死に直面し、臓器提供にいたるまでの体験と、臓器提供後数年までの体験を明らかにすることとした。本研究の計画は、6月に慶應義塾大学看護医療学部研究倫理審査委員会の承認を得た(受理番号132)。わが国ではドナー家族の個人情報の保護されているため、ドナー家族への接触が困難であった、7月に日本移植者協議会へ研究協力依頼を行った。日本移植者協議会にはドナー家族への研究協力の説明書と返信用葉書を手渡してもらい、研究協力の意思がドナー家族にある場合、返信用葉書を返送してもらった。10月~12月にかけて、7名のドナー家族から研究協力を得て、一人に対して約1時間半程度の半構成的インタビュー調査を、プライバシーが保護できる個室で実施した。現在インタビューデータを逐語録に起こし、グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて、質的帰納的に分析を実施している。
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