Research Abstract |
本研究では,在宅療養支援に関連する他機関,他職種との連携に着目し,個人情報管理と情報共有の現状を調査し,個人情報保護管理の徹底と連携促進に向けた情報共有のあり方を検討することを目的とした。調査対象は,WAM NETに登録されている病院のうち病床数が計200床以上ある病院2,709件の退院支援担当の看護師または社会福祉士等,居宅介護支援事業所32,231件のうち層化無作為抽出で抽出率10%となる3,223件の管理者を対象とした。調査内容は,属性,情報の共有方法,情報の取扱い・管理の状況として『医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン』に沿った具体的対策の実施,個人情報保護法への過剰対応の実態等とした。調査方法は郵送自記式質問紙調査とし,事前にプレテストで調査内容の内的妥当性の検証を行った後,2010年4月1~23日に本調査を実施した。その結果,配布数5932件,回収数1551件(26.1%),有効回答数1338件(有効回答率86.3%)であった。情報管理の項目では,病院,事業所共に,個人情報に関連した基本方針・体制は概ね整っているものの,情報システムの安全対策・措置の実施については有意差が見られた。また,情報の取扱いについても,情報共有歴の作成,書類や媒体の破棄等への対応に有意差が見られた。他機関・他職種との連携上,個人情報保護法への過剰対応が生じているかについては,全く生じていないまたは現在ではおさまっているとしたものが多数であったが,施行後から現在まで見られるまたは最近になって生じてきていると回答したものは病院85件(16.4%),事業所153件(18.6%)であった。以上から,個人情報の管理や取扱いについて基本体制は整ってきているものの,具体的対策の実施については施設間で差が見られ,その差は連携の妨げになりかねないことが示唆された。
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