2009 Fiscal Year Annual Research Report
地域高齢者を対象とした「老いと死の準備教育プログラム」の構築
Project/Area Number |
21792306
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
金田 由紀子 Tottori University, 医学部, 講師 (30335525)
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Keywords | 地域高齢者 / 老い / 死 / 健康寿命 / 介入研究 |
Research Abstract |
平成21年度は、まずは地域高齢者の主に老いの受容の様相とそれを促す背景要因を探るために、比較的老いの受容が上手くいっていると思われる農村集落の地域高齢者4名に対して聞き取り調査を実施した。そこで、地域高齢者の老いの受容としては、「個人の老いも、集落の高齢化も自然の流れとして受け止めている」という様相が明らかとなった。さらに高齢者が地域でいきいきと暮らすためには、老いの受容が中核的要因となっていることが明らかとなった。そして老いの受容を支えるものとして、結いを中心とした代を超えた手伝い合いといった集落に脈々と続いてきた相互扶助の精神、家族の絆、地域医療を支える町営診療所の存在があることであった。また、老いの受容を自然に促すものとしては、日々の生活の中で感動体験を持つこと、家庭内や集落内において役立ち感が持てること、役割を次の世代に譲りながらその一方で、現役続行の使命感を持ち続けることであった。 生活の自立した一般の地域高齢者に対する、老いの受容の様相とその背景要因に関する先行研究は、ほとんど見当たらず、今回の調査によって、老いを受容するための支援に関して、相互扶助の精神を大切に育てる試みや、世代間伝達のできる異世代間交流の機会や場を意図的に作ることや、感動体験に繋がる楽しみや仲間作りの仕掛けや環境整備といった地域づくりの必要性に対する示唆を得られたことは大きな意義であったと思われる。 平成22年度は、平成21年度の研究成果の発表を随時行っていくと共に、当初、平成21年度の実施計画にあげていたように、上記の結果を踏まえた「老いと死の準備教育のプログラム」を検討し、対象となる一地区に対して、プログラムの実施を試みる。
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