2011 Fiscal Year Annual Research Report
在宅高齢者のQOLを保ちながら介護継続を可能にする支援のあり方に関する研究
Project/Area Number |
21792308
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
沖中 由美 島根大学, 医学部, 講師 (50310892)
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Keywords | 在宅療養支援 / QOL / 高齢者 / 夫婦関係 |
Research Abstract |
本研究は,在宅療養高齢者と高齢介護者が在宅療養・介護を継続していくなかで,どのような療養・介護体験をしているのかを明らかにしたうえで,在宅療養・介護継続に伴う在宅高齢者の健康関連QOLを調査し,在宅療養・介護継続を支援するための介入方法を検討することを目的としている。本年度は,前年度に実施した質問紙調査の結果を基に,高齢者夫婦の人生における療養・介護の意味づけに影響する要因を分析した。高齢者夫婦は,在宅での療養や介護を試練として乗り越える体験,自分の生き方や信念を整理し人生をまとめ上げる体験,今までの生き方でこれからの人生を生きていけるという確信をもつ体験,人生の幸せについて考えるなど人生観が深まる体験として意味づけていた。このうち,在宅療養・介護体験への影響要因を検討するためロジスティック回帰分析を行った結果,高齢者夫婦における介護者と療養者ともに,夫婦関係,老いの生き方,将来の見通し,体調に合わせた生活調整,ケアサービスの質への満足感が,人生の幸せについて考えるなど人生観が深まる体験に影響していることが明らかになった。この結果を受け,夫婦間の老老介護において,ケア提供者は,療養者の健康支援とともに介護者の体調に気遣いながら夫婦の健康状態に応じた生活支援を行う必要があり,同時に,老いを生きる夫婦双方の心情を理解しながらポジティブな老いの意識に導くことができるよう支援し,人生や生活において先の見通しを立てながら今の生活が送れるように支援することが,在宅療養高齢者と高齢介護者夫婦のQOLを支持する上で重要であることが示された。
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