2010 Fiscal Year Annual Research Report
介護保険施設における認知症の三次予防に効果的な園芸療法プログラムの作成方法の研究
Project/Area Number |
21792310
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
寺岡 佐和 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (60325165)
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Keywords | 認知症 / 園芸療法 / 高齢者 / 三次予防 |
Research Abstract |
【目的】認知症高齢者に精神的安定をもたらす園芸活動プログラムの内容について検討することである。 【方法】特別養護老人ホームに入所中の認知症高齢者を対象に、アクティビティの一環として、2週間に1回、定期的に約60分の園芸活動を行った。主な活動内容は、種や苗を用いた野菜や花の植え付け、植物の手入れや収穫、花の寄せ植え、園芸活動に関する話し合いなどであった。活動の前後には唾液を採取し、クロモグラニンAの値を測定し、精神的ストレスの状態について把握した。 【結果】園芸活動への参加者は、78歳~99歳までの21名(男性3名、女性18名)で、平均年齢は87.4歳であった。介護度は、1が1名、2が6名、3が11名、4が3名であった。認知症高齢者の日常生活自立度と障害老人の日常生活自立度は、I・B1が2名、IIa・A2が1名、IIa・B1が1名、IIa・B2が1名、IIb・A2が1名、IIb・B1が1名、IIIa・A2が2名、IIIa・B1が2名、IIIa・B2が1名、IIIb・A1が1名、IIIb・B2が2名、IV・A2が4名、IV・B1が2名であった。農業の経験者は7名であった。夏野菜の苗の植え付けのセッションでは活動後に全員のクロモグラニンAが低下して精神的ストレスが軽減していたが、その他のセッションでは、クロモグラニンAが低下した者は4割強から6割強であった。また、夏野菜の苗を植えるプログラムの中では、複数の参加者が苗の葉の形から野菜の名前を言い当てたり、どのように植え、植えた後はどのように手入れすれば良いかについてそれぞれが知恵を出し合って作業する場面がみられた。 【考察】夏野菜の苗を植えるプログラムは、認知症高齢者が残存機能として持っている経験知と目の前の植物とを統合しやすく、作業する中で安心感や愛着がもたらされ、農業の経験の有無に関係なく、参加者の精神的安定に効果的に働きかけることができるのではないかと考える。
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Research Products
(1 results)