2010 Fiscal Year Annual Research Report
在宅ターミナルケアにおける訪問看護師の倫理的ジレンマ
Project/Area Number |
21792311
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
川崎 涼子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (30437826)
|
Keywords | 在宅看護 / 訪問看護 / 生命倫理 |
Research Abstract |
本年度は、ターミナル期の患者および家族と関わった経験をもち、訪問看護の経験が3年以上の訪問看護師6名を対象とし、在宅ターミナルと考えられる対象者への関りすべてにおいて「どうしたらよいか」迷ったことや「これでよいのだろうか」と悩んだ経験があるか、また、そのような状況や場面でどのように感じたかについて、半構成的インタビューを実施した。研究方法は修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用い、訪問看護師の倫理的ジレンマのコア概念を抽出し、概念間の意味づけや関係性から概念図を作成した。 訪問看護師の倫理的ジレンマのコア概念として「ケア遂行に関するジレンマ」「自己能力の限界に関するジレンマ」「ジレンマの解決に至る過程」「ジレンマの帰結」が抽出された。訪問看護師は在宅ターミナルケアにおいて、ケア遂行に関するジレンマと自己能力の限界に関するジレンマという2局の状況でジレンマを抱いており、ジレンマを緩和したり緩衝したりを積み重ねながら解決への過程を辿り、新たな看護につながる経験知や、次の対象者へのケアに集中しようとするため折り合いをつけること、もしくはグリーフケアを通して昇華される等として帰結していた。 グリーフケアは遺族のみならず訪問看護師にとっても重要な役割をもっていることが示唆された。さらに、倫理的ジレンマの昇華には、仲間の訪問看護師とのジレンマの共有が重要であることが示唆された。その一方で、昇華されず残る倫理的ジレンマがあり、このような訪問看護師へのサポートが必要であると考えられた。
|
Research Products
(1 results)