2010 Fiscal Year Annual Research Report
唾液中ストレス関連物質を活用した地域高齢者の精神健康と地域支援介入モデルの構築
Project/Area Number |
21792313
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
豊里 竹彦 琉球大学, 医学部, 助教 (40452958)
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Keywords | 地域高齢者 / スピリチュアリティ / 抑うつ状態 / 日常生活動作効力感 / 唾液中ストレス関連物質 |
Research Abstract |
本研究は、65歳以上地域高齢者のスピリチュアリティと日常活動動作効力感、抑うつおよび唾液中ストレス関連物質との関連を検討することを目的とした。対象は、沖縄県O村の65歳以上の高齢者475名(男187名、女288名)であり、平成22年11月から12月に半構成的面接を実施した。調査内容は、基本属性のほか、三澤らの高齢者用スピリチュアリティ評定尺度(Spirituality Rating Scale for the Elderly、以下SRS-E)、日常生活動作効力感とGDS5短縮版(Geriatric Depression Scale 5)による抑うつ状態について設問した。なお、本研究におけるSRS-Eのクロンバックのα係数は0.913と高い内的整合性を有していた。日常生活動作効力感とSRS-Eとの関連では、男女ともに入浴、歩行、電話、着脱、掃除、買い物および効力感全体で有意な正の相関(p<0.01)を認めた。抑うつ状態とSRS-Eとの関連では、男(r_s=-0.343、p<0.01)、女(r_s=-0.343、p<0.01)ともに有意な負の相関を示し、SRS-E得点が低値となるにともない抑うつ状態が高値となることを示した。また、N町の地域高齢者48名(男18名、女30名)を対象に、竹田らの日本高齢者用スピリチュアリティ評定尺度と唾液中ストレス関連物質であるGortisolとの関連では、スピリチュアリティ評定尺度の下位尺度「死と死に向かう態度」でのみ有意な負の相関を示し(r_s=-0.373、p<0.05)、死への準備が低い高齢者ほどストレスが大きいことが示された。 以上より高齢者は、様々な心理・社会的喪失体験や身体的喪失体験をし、とりわけ加齢に伴う活動能力の低下は、社会的紐帯の縮小や社会支援の減少をもたらし、高齢者の心理面や行動面にも影響を及ぼす重要な要因となる。スピリチュアリティはこのような高齢期特有の変化に対し緩衝的にはたらき、高齢者の心身の健康に密接にかかわることが推察された。
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Research Products
(3 results)