2011 Fiscal Year Annual Research Report
唾液中ストレス関連物質を活用した地域高齢者の精神健康と地域支援介入モデルの構築
Project/Area Number |
21792313
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
豊里 竹彦 琉球大学, 医学部, 助教 (40452958)
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Keywords | 地域高齢者 / 唾液中ストレス関連物質 / 主観的幸福感 / 伝統行事 |
Research Abstract |
本研究は、80歳以上地域高齢者の唾液中ストレス関連物質であるコルチゾールと伝統行事への参加状況および主観的幸福感との関連を検討した。沖縄県A町80歳以上高齢者のうち、調査協力の得られた48人(男性18人、女性30人)について、訪問面接調査および唾液の採取を行った。調査は基本属性のほか、伝統行事への参加状況、Subjective Well-Being Inventory(以下SUBI)について半構成的面接を行った。唾液は、日内変動を考慮し14時~16時に専用容器(Salivette SARSTEDT社製)で採取した。唾液中コルチゾールの測定には、Salimetrics社Salivary Cortisol EIA Kitを使用した。分析は、Mann-WhitneyのU検定およびSpearmanの順位相関係数により行った。解析にはSPSS18.0Jを使用し、有意水準は5%未満を有意差あり、10%未満を傾向ありとした。性別、年齢、同居者の有無、配偶者の有無、主観的経済状況、趣味の有無や地域活動への参加状況と唾液中コルチゾール濃度との有意な関連は認められなかった。主観的健康感と唾液中コルチゾール濃度との関連では、唾液中コルチゾール濃度は健康感の良いもの(0.279±0223nmol/ml)が悪いもの(0.402±0.202nmol/ml)に比べ低い傾向を示した(p=0.051)。伝統行事への参加状況との関連では、伝統行事に参加しているもの(0.328±0.195nmol/ml)が参加していないもの(0.496±0.245nmol/ml)に比べ、唾液中コルチゾールが低い傾向を示した(p=0.056)。主観的幸福感(SUBI)との関連では、SUBIの下位項目である身体的不健康感で正の関連傾向を示し(r_s=0.280、p=0.084)、身体的健康が低い高齢者ほどストレスを惹起しやすい傾向にあることが示唆された。 以上の結果より、80歳以上の地域高齢者においては、基本属性で唾液中コルチゾール濃度に差がないこと、また、主観的健康感、身体的健康や伝統行事への参加状況がストレスに影響することが考えられ、地域高齢者の精神健康の維持・向上には身体的側面からのアプローチおよび地域に根ざした伝統行事へ参加が重要であることが示唆された。
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